【読書記録】吉田修一「怒り(上・下)」
今年は本をたくさん読んでいます。先輩から「メンタルが弱まってないときに読んでね」なんて話しながらお借りしました。
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2016/01/21
- メディア: 文庫
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映画にもなりましたが、そちらは見てません。どうでもいいと思いますが、私は渡辺謙がラストサムライしてたときから、うさん臭いというか信用できない感じが苦手で好きではありません。読み終わったあと、森山未來の演技が気になってしょうがない。森山未來だけ見たい。怖い。ぞっとする。宮崎あおいが役作りのために8kgも増量したなんてニュースになっていましたが、原作を読むとまったく宮崎あおいではない感じ。もっともっともーーーーーーーっとぽちゃぽちゃしているのが愛子なのになぁ。
これだけ登場人物が出てくるにも関わらず、誰にもさほど共感できないまま終わった気がする。そんな話も珍しく、新鮮だった。この物語の唯一の救いは優馬が直人を自分の母親と同じお墓に入れたことかなーなんて思う。でもそれは読者の私が感じる救いであって、優馬が救われることはないんだろうなーとも思う。お墓に直人の名前と自分の名前が並んで刻まれたときに初めて優馬は救われるのかなぁ。となると、やはり優馬は生きている間は救われないのだろうか。
洋平と愛子の決断、泉の告白はどうか希望であってほしいと思った。何が怒りになるのか、そしてその怒りを何につなげるのか。人を心から信じることの難しさ、愛する人を守るために愛する人を傷つけなくてはいけない現実。報われてほしいとか、救われてほしいとか、そんな安易な言葉を願えない。怒りは続く、それだけは本当のこと。